では、どのような精神科が生き残っていけるのでしょうか。
Chat GPTなど人工知能(AI)は、診断と治療に対して最適解を与えてくれ、標準的な精神科医療を提供してくれることでしょう。
ここで重要なのは、”標準的な”精神医療です。至極まっとうな精神科の診断・治療方法を我々に提示してくれるので、全国にそれが導入されれば、精神科医療の底上げになるため、決して悪いことではないといえます。
しかし、”標準的な治療”を呈示してくれる=どこに行っても同じような治療になることを意味します。
癌は標準治療が最も大事ですが、心の病気は癌とは違って形がなく、人の心は一人ひとり違うので、標準的な治療では対応できない患者もそれなりに出てきます。
つまり、AIによる標準的な診断・治療が主流になると、対応が難しい患者は難民化してしまうのです。
これからの理想の精神科医療は、標準化した医療をベースにしながら、難しい患者に対しては、そこでしかできないような特殊な心理療法や精神療法を提供するという二階建ての建付けにすることで、十分差別化を図っていくことができるでしょう。
次回は、臨床心理士や公認心理師は、人工知能(AI)に取って代わられるのかを考えてみましょう。