栄養は大事だとみんなわかっていると思います。身体に栄養が必要だということはテレビの情報番組などでよく取り上げられますが、精神に必要な栄養というものはあまり知られていません。
昨今、精神科の世界では、”栄養精神医学”という分野が少しずつ浸透してきています。私も必要な範囲内で、その考え方は取り入れています(あくまでも、必要な範囲です)。
この分野を開拓したのが、カナダの精神科医であるAbram Hoffer(エイブラム・ホッファー)です。
彼は異色の経歴の持ち主で、もともと生化学の研究者でビタミンの研究をしていた時に、ビタミンを与えた統合失調症の病状が良くなるというケースを経験し、統合失調症とビタミンの関係に興味を持ったのです。
ところが、統合失調症の患者を診て、治療するには医者にならなければならないため、勉強し直し精神科医になったというすごい人です。そして、彼はビタミン(ナイアシン)を統合失調症の治療に積極的に活用しました。とにかく、ビタミンを適量飲ませるというのではなく、多量に飲ませるメガビタミン療法を行いました。
それで多少良くなった例もあったようですが、結局、抗精神病薬も使わざるを得ないのが現状だったようです。残念ながら、統合失調症はビタミンだけで治るわけではありません。
ただ「精神科患者の治療には、薬だけ投与しておけばいい」というアンチテーゼとして、彼の存在価値はあるのかもしれませんし、”栄養精神医学”というものが現代医療の問題提起をしているわけです。
一つ注意していただきたいのは、「栄養を改善すれば、心の病気すべてが治る」という考え方は間違っているということです。それは断言できます。なので、サプリメントやプロテインをたくさん飲みさえすれば大丈夫と考え、医療機関から処方された薬を勝手に止めないでほしいということはお伝えしておきます。
ただ、栄養は大事なので、しばらく栄養をテーマに投稿していきたいと思います。