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妊婦さんには、子供の発達障害の予防に、当帰芍薬散をお勧めします

 文部科学省の発表で、発達障害の出現率を見てみると、

6.3%(2003)→6.5%(2012)→8.8%(2022)

 昔に比べると少しずつ増加しているのが分かります。

 

 かつて日本では、「小さく産んで、大きく育てる」というような間違った認識が広まっていました。

 発達障害が生じるリスクはいろいろありますが、その大きな一つが低出生体重児(かつて未熟児と呼ばれた)で生まれることです。

 もちろん、低出生体重児で出生発達障害となる、というわけではありません。誤解しないでください。

 しかし、その可能性は上がってしまうのです。

 

 では低出生体重児になるのはどうしてなのか。妊婦さんの栄養不良というのもありますが、早産も一つ大きな要因です。

 早産になってしまう理由は複雑なので、ここでは論じませんが、大事なのは、早産をいかに防ぐかということにあります。

 

 早産を防ぐために、産婦人科ではよくウテメリンという子宮収縮抑制剤を処方されます。私は、元東洋医学を専門にしていた医者として、全妊婦さんには当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を妊娠中は内服することをお勧めしています。

 

 当帰芍薬散は『金匱要略(きんきようりゃく)』という本に載っている処方で、古代中国の時代から流産や早産に対する治療薬として飲まれていた薬です。

 中に含まれる芍薬・当帰・川芎が子宮筋の緊張を緩め、胎児をリラックスさせてくれるのです。胎児に取ってもよい処方です。

 

 使い方として重要なポイントは、子宮筋の緊張を緩めるため、飲み続けたまま陣痛を迎えると微弱陣痛になってしまうので、胎児の体重が2500g以上になったことを確認して、予定日の1~4週間前には止めなければならないことです。

 そこだけは忘れないようにしてください。

 

 早産で生まれてくる子供が一人でも減り、母子の負担が減ることを願っています。