シンクロニシティはユング派心理学者である河合隼雄先生が、『共時性』と訳されています。
『共時性』は「時間を共にする」という意味でつけられていて、私とあなたが同じようなことを思っていることが偶然の一致で同時に生じていて(=意味をその時間の中で共有している)、”時”が強調されているのです。
実は、あまり一般には知られていませんが、同じユング派の心理学者で精神科医でもある山中康裕先生は、シンクロニシティを『縁起律』と訳されています。
『縁起律』とは、「因果の法則」が意味ある偶然の一致には内包されているという意味で、この”因果律”が強調されています。
ユングが中国古典で占いの書でもある『易経』に深い関心を寄せていたこともあることから、河合先生が『共時性』と訳していながら、あえて『縁起律』と訳した山中先生の見識は素晴らしいとしかいいようがありません。
ただお二人の訳、どちらが正しいということはなく、結論を言えば、シンクロニシティとは、『共時性』+『縁起律』の両方を兼ね備えた概念だというのが正しいです。